カフカ「審判」を読んで、

さのしゅうさく

2012年06月12日 15:13

考えたこと。

あらすじ
主人公Kはある朝突然逮捕される。
そして訴訟がはじまり、弁護士や叔父、画家、僧侶といった人と
事態の打開をはかるけれど、最終的には処刑されてしまう。


不気味なのはK自身が訴訟の原因を全く分からずに処刑されること。
これが本編をとおしてKの社会的限定を超えた状況、
あるいは社会的限定を欠いた状況となり
通奏低音のように響いて閉塞感をうみだしている。


カフカの小説には時間がない。
訴訟から処刑までKには回想シーンもなければ未来に思いをはせるシーン
なんてものもなく、彼は訴訟を打開しようとただひたすら現在の時間を生きつづけている。メビウスの輪のように彼には出口がない。


時間のとらえ方として「過去→現在→未来」とあるけど
カフカの頭のなかでは、時間とその過程におこる変化への意識がどうあったのか、と思った。


今聞いている音楽:Josquin des Prez "Ave Maria"

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